2001年3月24日土曜日

"どま"と"まど"



前回から頭の中で那須サイト増築計画が廻り続けている。
休日にスチレンボードで3D模型製作にいそしみ、立体描写に
結構はまりまくりである。
キッチン周りのデザイン収集に青山や新宿のショールーム荒らしを一通りこなし、
今回は万全の体制で24日に西那須野のモデルハウスで設計の打合せの予定である。

このところ穏やかな暖かい日が続き、那須サイトにおけるベストシーズンの幕開けだ。
ちなみに、3月中旬から梅雨入り頃までの3ヶ月、少しあけ、9月中旬から12月中ごろまでの
3ヶ月のあわせて約半年間がサイトのベストシーズンである。よって、逆に一般ピープルが
喜び勇んで那須へ避暑などに向かわれるシーズンは混むし、蒸すし、虫も多い、
夕立も多しで、あまりお薦めではない。

仕事の都合をつけて金曜日の午後からサイトに向かった。
暗くなる前にサイトに到着し、簡単な買出し(必要最小限ビールとタツキのパン)後、
スーパーいけがみ近くにある「イタリア食堂」というレストランで夕食を試みた。
さまざまな意味で緊張する「初めての」店であったが結構おいしく、
特にユキが「お袋の味チック」と、気に入っていたようだ。
その後、夜は深夜まで(那須においては極めて宵っ張り)プランについて議論した。

翌朝は快晴。久々に田舎道ウォーキングを楽しみデッキと朝食となる。
10時から設計の方と打合せでプランの提案もしていただけるので楽しみである。
守屋家におけるこだわりは雑木林と大きな岩とキャビンと家の関係。
特にリビング、ダイニングキッチンは外の樹木、岩を感じていたい。
そこで大きなデッキを岩を囲むように張りださせ、そのデッキとリビング、
ダイニングキッチンの境は掃き出しの大窓で全体の一体感を持たせた。
またアイランドキッチンを設置し調理をみんなで楽しむ「板場」な空間なども盛り込んだ。

模型まで作成して打ち合わせる人はあまりいないだろうなと思いながら
約束の時間に打合せ場所である西那須野のモデルハウスに向かった。
こちらのイメージを模型を使って一通り説明してから
設計の方の意見を伺ったら想像もしなかった提案をしていただいたのである。

土間である。

LDK全部土間なのである。
私の案はLDKは一般的なフローリングで同じイメージのデッキが外に張り出すデザインであった。
視覚的には一体感がある。
でもこのかたちだとデッキに出るときどうしてもサンダルなどを履きたくなるので
使い勝手の面から考えると一体化しているとは言いがたい。
LDKが土間と掃き出しの大窓で構成されれば真の意味でデッキと一体となり
外部との精神的な垣根が低くなるのではないだろうか。
"土間"と"窓"のコンビネーションである。
また中途半端な玄関という空間が必要なくなるため限られたスペースが有効に利用できる。
一般住宅であれば敬遠されがちな土間であるが
サイトのような使い方であれば非常に有効なのではないだろうか。
実は設計の方はこの「那須サイトレポート」にも目を通していただいており
生活のイメージから土間を提案してくれたようである。
さすがプロ。である。 土間の材料は瓦材ということなので汚れはあまり目立たないのだが
汚れが気になるのも事実である。
特にサイトのまわりは土なので雨が降れば靴は泥だらけとなる。
そこで今サイトで活用しているビニールサンダル(通称便所下駄)風な今後は改め、
「土間下駄」利用を考えた。靴が汚れているときや、靴を履いているのがうっとうしい時は
ドマゲタに履き替えればOKである。ドマゲタ選びも結構も楽しめそうなプロジェクトである。
しかし楽しい話ばかりではなかった。
現実世界にいきなり引き戻されるように見積書が提出された。
が~ん!というか予想していたといおうか予算オ~バ~。
これからは資金調達がメインテーマになってしまいそうである。
ともあれ土間プランという楽しげなプランで進めていきたいと思う。
2時間ほど打合せをしたあと黒磯の天下一番ラーメンで昼食(実はここはとてもうまい!)
カインズホームで燃料、飲料水など基本アイテムを調達をしてサイトに戻った。
天気は快晴。2週間前がうそのような春うららかな陽気でまさに那須ベストシーズンである。
その後グリーングリーンでくつろぎ、いけがみで食材の調達。
この夜はサイトで豚しゃぶと揚げぎょうざである。これがシンプルで結構うまい。

提案された土間プランに思いをめぐらせながらサイトの夜はふけていった。

1LDK平屋15坪+デッキ案に基づき作成した模型。

シノダケの白い花?


話は那須サイトの先史時代にさかのぼる。
サイト全体はシノダケでおおいつくされ
人は中に入ることができなかった。
このままではシノダケ帝国がますます繁栄してしまう。
何とかシノダケ帝国に攻撃をしかけなければ
手遅れになってしまうのだ。
われわれ反乱軍はラウンドアップによる
一斉攻撃をしかけることになったのである。
ラウンドアップは雨に弱い。
あいにく総攻撃中に雨が降り出し、攻撃はあえなく中止。
予定の10%程度しか散布できなかった。
しかし反乱軍は屈服せず、その後手作業で
コンスタントに開拓をすすめ、数年のうちに
反乱軍のミニ基地(那須サイト)が設営できる今に至る。

先史時代の反乱軍メンバーであり那須サイトの隣人である
佐藤ファミリーが6年ぶりに当地を訪れることになった。
明日から4月だというのにこの日は東京でもみぞれが降るほど冷え込んでいた。
私たちは金曜日の夜からサイトに来ていたので土曜日はゆっくりと朝食を楽しみ
隣人の到着を待っていた。サイトは朝から雪が降ったりやんだりの状態で
今では遠景になったシノダケの葉にうっすらと雪がつもり窓からの景色は
あたかもシノダケに白い花が
一面に咲き乱れたような状態である。
シノダケもほんとうにこんなにきれいな花が咲けばどんなにすばらしいだろう
などどつい思ってしまう。

佐藤家は天候のため到着は昼過ぎの模様、よって私たちは近くの
チャイネで餃子を食しカインズホームで調達をし、サイトに戻った。
サイト前にはすでに隣人達を乗せたパジェロがとまっていた。
さっそくキャビンでビールを飲み交わしながら6年ぶりの登場を祝した。
隣人は開拓に驚き、喜び、さらに
陽子さんはキャビンが大変気に入ったらしく、たまたま持ってきていた
ログキャビンのちらしを見せると隅から隅まで食い入るように見つめていた。
最近は40~50万でここと似たようなキャビンが手に入るようである。
イメージが膨らむ、膨らむ・・・

全員でスーパーいけがみへ食材の買出し、さらに板室温泉に向かった。
グリーングリーン初体験の隣人はここもタイソウ気に入ったようだ。
サイトに戻りランプに火をともし夕食の準備にかかった。
七輪焼き&いものこ汁というメニューである。
雪は止み、星が瞬きだし、あたりはすっかり「極寒」うっすら白いサイト。
気温はブルブル0度。が、夜空を楽しみつつ、6年ぶりにサイトに来た
隣人ファミリーは防寒着を着込み、アウトドアディナーとなった。
タツキとひかるくんはすっかり暗くなったサイトで懐中電灯を照らしながら
スコップでおとし穴を掘りまくってはしゃいでいた。
満天の星空のもと佐藤ファミリー6年ぶりの那須サイトの夜がふけていった。


先史時代の反乱軍メンバー

2001年3月11日日曜日

おもしろい、もったいない。



「ランプ小屋の生活も十分楽しんだし、そろそろ家でも建てたいね。」
という一言から那須サイトの21世紀がスタートした。

マンションや建売住宅などが一般化している時代に自分でプランを作成して
家を建てるというのはなんとも贅沢?いや、高めの買い物なので、とことん
こだわるのは当たり前・・・
敷地にあるさまざまな条件をできる限り活かし、サイトをさらに楽しむための
家をつくりたい。(先立つ物が当然必要であるがその辺はどうにかなるさの
ノーテンキぶりである)ということで3月10日(土)の早朝那須に向かった。

なんとなくイメージしていた住宅は丸太ログ風ではなく今のキャビンのような
角ログのキットハウスやスエーデンハウスのような板張住宅であった。東北道
矢板ICから4号線を北上しながら住宅展示場やモデル住宅を探していたら
西那須野の付近で、このあたりに気になるモデル住宅があったとユキが思い出し
そこによってみることにした。その気になるモデルハウスは10時オープンとの
ことでまだ多少時間がありかなりゆっくりと外観をチェックすることができた。
結構かっこいい家である。太陽熱を利用したシステムが組み込まれているらしい。
予定どおり10時にオープンしたので中に入ってみた。
合板と集成材の柱をそのまま見せるデザインであった。

サイトの夏は湿気がすごいので内装にクロスなどを使用しているとあっというまに
カビで黒くなってしまうのでこのクロスなしの合板剥き出しデザインは好感が持てた。
太陽熱のシステムは外気を屋根裏から取り込み屋根に張ってあるガラス板で
その空気をあたためそれをダクトとファンで床下に送り込み各部屋に設置された
床の吹き出し口からあたためられた空気を送りこむものであった。
夏の夜はあたたかい外気が屋根裏を通過する際、放射冷却作用でやや温度が下がり
その空気を床下から送るというシステムである。
またダクトに空気を送り込むためのファンを常時動作させることで
屋根下から外気を取り込んだ部屋の換気ができるため別荘などの湿気に対して
非常に有効であるという点が一番気に入った。

同仕様の住宅がたまたま至近にできたて展示発表会を行っているということなので
チェックしてみた。一通り見学させてもらい設計の方とお話をすることができた。
そこで合板、集成材の柱、太陽熱のシステム等を取り入れて1LDKロフト付
平屋住宅(15坪程度)という条件で概算見積だけでもお願いしたいと申しでた。

さっそく現場を見たい、とのこともあり、その場からその設計の方と一緒に
サイトに向かったのである。サイトのキャビンにご案内すると6畳一間ライフに
興味を持っていただいたらしく小さな家の美学についての話に盛り上がり、家を
建てるプロジェクトが妙に現実味を帯びてきた。

その午後はグリーングリーンでゆっくりしたあとノビローでディナーを楽しんだ。
ノビローのマスターは昨年購入したニュービートルに愛想をつかし、フォードの
Kaがちょこんとガレージに収まっていた。この車はマニュアル車しかない
いまどき珍しい車なのである。アクセルをめいっぱい踏んで楽しめるといって
マスターはなかなかご満悦であった。

夜キャビンではオイルランプのあかりのもと設計の方からいただいた建築雑誌や
プランのルールブックなどを眺めているうちにどんどん引き込まれていく。
基本計画は是非自分でやってみたいものだ。翌日はディテールなどの再チェック
のためもう一度西那須野のモデルハウスに立ち寄り帰路についた。 ちなみにこの太陽熱のシステムは[OMソーラーシステム]というらしく
OMは「おもしろい、もったいない」の頭文字だそうだ。